ヨーロッパ旅行で航空券を選ぶとき、運賃や機内サービスだけでなく、遅延・欠航の起こりやすさも無視できません。特に乗り継ぎ便や、到着日に予定を入れている旅程では、数時間の遅れが旅行全体に影響します。
本記事では、Flightrightが公表した2026年版の評価をもとに、ヨーロッパ主要航空会社20社の「遅延・欠航を合わせた信頼度」を比較します。あわせて、直近12か月の欠航率と、検索需要のある2025年上半期の遅延率・欠航率も参考データとして残しました。
この記事の結論
- 2026年版で信頼度評価が最も低いのは、KLM・ルフトハンザ・エールフランスの3社で、いずれも1.5/5点
- 直近12か月の欠航率では、SASが4.12%で最上位
- ただし、調査期間・対象会社・評価方法が異なるため、複数の表を単純に合算して「最悪の航空会社」を決めることはできない
- 実際の旅行では、航空会社名だけでなく、直行便か乗り継ぎ便か、別切り航空券か、最終便かどうかも重要
データを見る前の注意点
本記事には、①2025年11月15日~2026年5月14日の信頼度評価、②直近12か月の欠航率、③2025年1月1日~5月17日の遅延率・欠航率という異なるデータを掲載しています。期間と対象会社が同一ではないため、同じ条件のランキングとしては比較できません。
2026年版|ヨーロッパ主要航空会社20社の信頼度ランキング
Flightright Index 2026では、ヨーロッパの主要航空会社20社を対象に、2025年11月15日から2026年5月14日までのデータを集計しています。
同指数の総合評価には「信頼度」「補償金の支払い対応」「顧客満足度」が含まれますが、本記事では検索意図に合わせて、遅延と欠航を組み合わせた「信頼度」の点数だけを抜き出しました。1点が最低、5点が最高です。
| 信頼度 | 航空会社 | 見方 |
|---|---|---|
| 1.5/5 | KLM、ルフトハンザ、エールフランス | 20社中で最低評価 |
| 2.0/5 | エアリンガス、SAS、ブリュッセル航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、フィンエアー | 低い評価 |
| 2.5/5 | イージージェット、ペガサス航空、SWISS | やや低い評価 |
| 3.0/5 | エア・ヨーロッパ、ライアンエアー、ウィズエアー、イベリア航空、ユーロウイングス | 中間評価 |
| 3.5/5 | ブエリング航空、ノルウェー・エアシャトル、エア・バルティック、オーストリア航空 | 対象20社では最高評価 |
この結果だけを見ると、KLM・ルフトハンザ・エールフランスは注意が必要です。ただし、信頼度は遅延率と欠航率を合わせた評価であり、各社の正確な内訳は公表されていません。「欠航が多いから1.5点」「遅延だけが原因」とまでは断定できません。
また、対象20社で最高でも3.5点です。日本の航空会社との単純比較ではなく、ヨーロッパの主要20社を同じ基準で見た相対評価として使うのが適切です。
出典:Flightright Index 2026/評価方法
2026年最新|直近12か月の欠航率ランキング
次は、Flightrightが2026年6月に掲載した、直近12か月の欠航率ランキングです。こちらは主要20社だけではなく、地域子会社も含まれます。
| 順位 | 航空会社 | 欠航率 | 欠航便数/予定便数 |
|---|---|---|---|
| 1 | SAS | 4.12% | 5,357/129,891 |
| 2 | BA CityFlyer | 3.80% | 1,177/30,946 |
| 3 | ユーロウイングス | 3.78% | 4,455/117,810 |
| 4 | ルフトハンザ・シティライン | 3.37% | 2,982/88,496 |
| 5 | エア・ドロミティ | 3.27% | 1,234/37,702 |
| 6 | ローガンエアー | 2.95% | 1,274/43,240 |
| 7 | KLMシティホッパー | 2.88% | 2,937/102,078 |
| 8 | ブリティッシュ・エアウェイズ | 2.75% | 4,987/181,425 |
| 9 | ルフトハンザ | 2.71% | 7,162/264,684 |
| 10 | ヴィデロー航空 | 2.47% | 2,962/119,723 |
| 11 | Air France Hop! | 2.07% | 1,044/50,476 |
| 12 | KLM | 1.94% | 1,838/97,095 |
| 13 | トランサヴィア・フランス | 1.73% | 1,126/64,940 |
| 14 | TAPポルトガル航空 | 1.62% | 1,146/70,876 |
| 15 | イージージェット | 1.51% | 6,869/455,316 |
| 16 | エールフランス | 1.40% | 2,682/191,105 |
| 17 | オーストリア航空 | 1.27% | 1,242/97,578 |
| 18 | エアリンガス | 1.19% | 1,022/85,748 |
| 19 | ウィズエアー | 1.00% | 1,669/166,890 |
| 20 | ライアンエアー | 0.57% | 4,971/878,401 |
欠航率と欠航便数は分けて見る必要があります。例えばライアンエアーは欠航率0.57%と低い一方、運航規模が大きいため欠航便数は4,971便あります。反対に、運航便数が少ない会社は、欠航便数が少なくても欠航率が高くなる場合があります。
出典:Flightright「Flight cancellations summer 2026」
参考|2025年上半期の遅延率ランキング
ここからは旧記事で掲載していた、2025年1月1日~5月17日の参考データです。2026年版とは集計期間と評価方法が異なりますが、「エールフランスの遅延率」「フィンエアーの遅延率」「ブエリング航空の遅延率」といった個別検索の参考になるため残します。
この表の遅延は、予定時刻より15分以上遅れて出発した便を指します。旧記事では「到着が15分以上遅れた便」と記載していましたが、出典に合わせて修正しました。
| 順位 | 航空会社 | 遅延率 | 遅延便数 | 総フライト数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | TAPポルトガル航空 | 37.14% | 15,615 | 42,047 |
| 2 | エールフランス | 22.65% | 23,109 | 102,008 |
| 3 | SWISS | 22.42% | 11,523 | 51,396 |
| 4 | フィンエアー | 20.95% | 9,063 | 43,253 |
| 5 | ライアンエアー | 20.73% | 77,019 | 371,471 |
| 6 | イージージェット | 20.63% | 39,871 | 193,277 |
| 7 | KLM | 19.68% | 26,626 | 135,296 |
| 8 | Buzz | 17.41% | 6,869 | 39,446 |
| 9 | ブリティッシュ・エアウェイズ | 16.91% | 18,876 | 111,655 |
| 10 | ブエリング航空 | 16.71% | 12,898 | 77,177 |
2025年上半期の欠航率ランキング
| 順位 | 航空会社 | 欠航率 | 欠航便数 | 総フライト数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | フィンエアー | 3.35% | 1,448 | 43,252 |
| 2 | KLM | 2.04% | 2,760 | 135,296 |
| 3 | ブリティッシュ・エアウェイズ | 1.58% | 1,763 | 111,655 |
| 4 | エアリンガス | 1.29% | 486 | 37,804 |
| 5 | SWISS | 1.29% | 615 | 51,396 |
| 6 | TAPポルトガル航空 | 1.08% | 456 | 42,047 |
| 7 | ルフトハンザ | 1.00% | 1,757 | 175,641 |
| 8 | エーゲ航空 | 0.94% | 342 | 36,345 |
| 9 | エールフランス | 0.88% | 896 | 102,008 |
| 10 | ノルウェー・エアシャトル | 0.65% | 219 | 33,675 |
出典:Flightrightの2025年データを紹介したCinco Días
ランキングから分かること|航空会社の評価は期間で変わる
エールフランス・KLM・ルフトハンザは2026年の信頼度が低い
2026年版では、エールフランス・KLM・ルフトハンザがそろって1.5点でした。日本からパリ、アムステルダム、フランクフルトなどへ向かう旅行者にとって、利用機会の多い3社です。
一方、直近12か月の欠航率は、エールフランス1.40%、KLM1.94%、ルフトハンザ2.71%と差があります。したがって、「3社とも同じように欠航する」という意味ではありません。
フィンエアーは2025年上半期と2026年で見え方が異なる
フィンエアーは2025年上半期の欠航率が3.35%で1位でしたが、2026年6月公表の直近12か月ランキングでは上位20社に入っていません。ただし、Flightright Index 2026の信頼度は2.0点です。
この違いからも、短期間のランキングを航空会社の固定的な評価として扱うのは危険です。ストライキ、天候、空港側の混雑、機材繰りなどで数字は変動します。
ブエリング航空やライアンエアーは「LCCだから最悪」とは限らない
ブエリング航空は2025年上半期の遅延率で10位でしたが、2026年版の信頼度は3.5点で、対象20社では最高グループです。ライアンエアーも、2026年の欠航率は0.57%でした。
追加料金やサポート体制など別の注意点はありますが、LCCという理由だけで遅延・欠航が必ず多いとは言えません。
旅行者がランキング以上に確認したい5つのポイント

1.直行便か乗り継ぎ便か
同じ航空会社でも、直行便と乗り継ぎ便ではトラブル時の影響が違います。到着時刻を優先する旅行では、多少高くても直行便を選ぶ価値があります。乗り継ぎ便を選ぶ場合は、遅延率だけでなく、次便の本数と同日中に振り替えられる可能性も確認します。
2.同一予約か、別切り航空券か
別切り航空券では、前便の遅延で次便に乗れなくても、原則として次の航空会社が保護してくれるとは限りません。ヨーロッパ内移動を別に予約するときは、最低乗継時間だけで判断せず、入国審査・荷物の受け取り・ターミナル移動まで含めて余裕を持たせる必要があります。
実際の予約時に確認した座席指定や荷物代については、エールフランス欧州内路線の予約レビューで詳しくまとめています。
3.その日の最終便ではないか
最終便が欠航すると、当日中の振替が難しくなります。翌朝に重要な予定がある場合は、早い時間帯の便や前日移動も候補です。
4.乗り継ぎ空港の混雑と必要時間
遅延率が低い航空会社でも、乗り継ぎ空港が混雑していれば乗継失敗の可能性は高まります。空港の最低接続時間だけでなく、ターミナル、保安検査、入国・出国審査の有無を確認してください。
パリ発便を利用する場合は、CDG空港T2Eに何時間前に着くべきかをまとめた実体験も参考になります。
5.旅行保険と証拠の残し方
遅延・欠航が起きたら、搭乗券、航空会社からのメール、空港表示、遅延証明、ホテル・食事・交通費の領収書を保存します。クレジットカード付帯保険は利用条件や補償範囲が異なるため、出発前の確認が必要です。
海外事務手数料と付帯保険については、主要クレジットカードの海外手数料・海外旅行保険まとめで整理しています。
実体験|遅延率だけでは分からない航空会社の対応

私自身も、ヨーロッパ系航空会社で遅延や欠航を経験しています。ただし、以下は個別の搭乗体験であり、航空会社全体の品質を統計的に示すものではありません。
- フィンエアー:数年前に利用した際は、大きな遅延や欠航はありませんでした。
- ルフトハンザ:フライトの遅延とディレイドバゲージを経験しました。空港職員の対応にも不快感が残りましたが、個別体験と統計評価は分けて考える必要があります。
- SAS:ストライキの影響でフライトが欠航しました。ANAマイルで発券していたため、振替時にはANAのサポートに助けられました。
- SWISS:遅延により、乗り継ぎに間に合うか不安になった経験があります。実際の搭乗記はSWISS LX160ビジネスクラス搭乗記で紹介しています。
- エールフランス:羽田~パリ便で軽度の遅延を経験しました。機内や空港での実体験はAF187羽田~パリ搭乗記にまとめています。
実際に困るのは、遅れたこと自体よりも、振替案内、荷物、宿泊、次便への接続がどう処理されるかです。ランキングは予約前の参考にはなりますが、トラブル発生後の対応まで保証するものではありません。
遅延・欠航時に確認したいEU261の補償
EUの航空旅客保護ルールでは、一定の条件を満たす遅延・欠航について、250ユーロ、400ユーロ、600ユーロの補償を受けられる可能性があります。対象となるのは、EU内の便、EUから出発する便、またはEUの航空会社が運航するEU到着便などです。
2026年7月に改正規則が最終承認されましたが、すぐに全面適用されるわけではありません。EU理事会によると、新規則はEU官報への掲載から12か月と20日後に発効します。旅行時点で適用される条件は、EUまたは航空会社の公式案内で確認してください。
なお、悪天候や航空交通管制などの「特別な事情」では、定額補償の対象外となる場合があります。一方、食事、宿泊、代替輸送などの権利は別に確認が必要です。
公式情報:EU理事会「Air passenger rights」
よくある質問
エールフランスは欠航が多い航空会社ですか?
直近12か月の欠航率は1.40%で、掲載20社中16位でした。一方、2026年版の遅延・欠航を合わせた信頼度は1.5点で最低グループです。欠航率だけで最悪とは言えませんが、運航上の余裕は持たせた方がよいでしょう。
フィンエアーは欠航が多いですか?
2025年1月1日~5月17日の欠航率は3.35%で1位でしたが、2026年6月公表の直近12か月ランキングでは上位20社に入っていません。時期による変動が大きいため、予約時点の運航状況やストライキ情報も確認してください。
ブエリング航空は遅延しやすいですか?
2025年上半期の遅延率は16.71%でした。一方、2026年版の信頼度は3.5点で、対象20社では最高グループです。調査期間と指標が異なるため、単純に改善したとは断定できません。
LCCは大手航空会社より遅延・欠航が多いですか?
一概には言えません。2026年の欠航率ではライアンエアーが0.57%で、エールフランス、KLM、ルフトハンザより低い結果でした。ただし、欠航時の振替便、問い合わせ窓口、追加費用などは別に比較する必要があります。
航空会社の遅延率と欠航率は、どちらを重視すべきですか?
乗り継ぎや到着後の予定がある場合は、どちらも重要です。欠航は旅程変更の影響が大きく、遅延は乗継失敗につながります。最終的には、直行便、同一予約、便数の多さ、乗継時間を含めて判断してください。
まとめ|ランキングは航空会社選びの一材料として使う
2026年版では、KLM・ルフトハンザ・エールフランスの信頼度が1.5点で、ヨーロッパ主要20社の中では最低評価でした。直近12か月の欠航率ではSASが4.12%で最も高く、地域子会社を含むルフトハンザグループやKLMグループも上位に入っています。
ただし、航空会社の運航実績は、調査期間、路線、空港、季節、ストライキなどで変わります。ランキングだけで航空会社を決めるのではなく、直行便か、同一予約か、代替便が多いか、到着後の予定に余裕があるかまで確認することが重要です。
ヨーロッパ旅行では、遅延や欠航を完全に避けることはできません。だからこそ、予約段階で旅程を壊れにくくし、トラブル時に必要な証拠と補償条件を把握しておくことが現実的な対策になります。



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