【EU261とは?】ヨーロッパ旅行で知っておきたい航空機遅延の補償制度と今後の変更案について解説【海外旅行情報2025年6月】

ヨーロッパ旅行を計画している方にとって、フライトの遅延や欠航といったトラブルはできれば避けたいものです。がしかし、ご存知の通りヨーロッパクオリテイですから遅延、欠航は頻繁にあります。日本のクオリティと同等と言う感覚は危険ですから、ヨーロッパ旅行前に日本においていきましょう。
話がそれましたがヨーロッパへの旅行、特に乗り継ぎがある旅程や、現地での予定が詰まっている場合には、たった数時間の遅れでも大きな影響を受けてしまうことがあります。
こうしたトラブルに対して、EU域内には「EU261(EC261)」と呼ばれる旅客保護制度が設けられており、一定の条件を満たす場合には航空会社からの補償を受けることが可能です。
しかしこの制度は現在、補償条件を厳格化する方向での見直しが検討されています。本記事では、EU261の概要と、変更案の内容についてわかりやすく解説します。
EU261(EC261)とは?
EU261とは、欧州連合(EU)が定める航空旅客保護規則で、正式名称は「Regulation (EC) No 261/2004」です。フライトの大幅な遅延や欠航、オーバーブッキングによる搭乗拒否などに対し、旅客が補償を受けられる権利を定めています。
対象となるフライト
以下のいずれかに該当するフライトは、EU261の対象となります。
特に注目していただきたいのは赤字の部分です
EU外を出発してEU内に到着する非EUの航空会社= JAL、ANAはこれに該当します
出発地 | 到着地 | 航空会社 | 補償の対象 |
---|---|---|---|
EU内 | EU内 | EUまたは非EUの航空会社 | 対象 |
EU外 | EU内 | EUの航空会社 | 対象 |
EU内 | EU外 | EUまたは非EUの航空会社 | 対象 |
EU外 | EU内 | 非EUの航空会社 | 対象外 |
すでに他国の法律で補償を受けた場合 | — | — | 対象外 |
※上記の「EU」とは、EU加盟国のほか、アイスランド・ノルウェー・スイスを含みます。
※フランス海外県(グアドループ、マルティニーク、レユニオンなど)やスペイン領のカナリア諸島などもEU域内として扱われます。
※フェロー諸島(デンマーク領)はEU域外とみなされます。
知っておきたい補足
- すでに他国(例:アメリカ)の法律で補償を受けた場合、同じ事案に対してEU261の補償を重ねて受けることはできません。
- 航空会社がEU域内で登録された企業かどうかが、補償の可否に影響します。
このように、EU域内からの出発便や、EUの航空会社が運航するEU到着便は原則としてEU261の対象となります。フライトの予約前や遅延・欠航時には、自分の便が補償の対象に該当するか確認しておくと安心です。
現行制度における補償内容(遅延の場合)
遅延の長さと飛行距離に応じて、以下の補償金が支払われます。
飛行距離 | 遅延時間 | 補償金額 |
---|---|---|
1,500km未満 | 2時間以上 | 250ユーロ |
1,500~3,500km | 3時間以上 | 400ユーロ |
3,500km超 | 4時間以上 | 600ユーロ |
※補償対象となるのは、航空会社の責任による遅延(機材トラブルなど)のみです。航空交通管制上の決定、政情不安、悪天候、安全上のリスクなど、不可抗力とされるケースでは補償対象外となります。ストライキに関しては航空会社の運航に影響を与える、航空会社外部のストライキは、非常事態とみなされる可能性があるなど、ケースバイケースのよう。
EU261の変更案について
近年、EU加盟国の運輸大臣の過半数が、EU261の見直しを支持する提案を行っています。これにより、補償条件が次のように変更される可能性があります。
改正案の内容(案)
飛行距離 | 遅延時間 | 補償金額(案) |
---|---|---|
3,500km以下 | 4時間以上 | 300ユーロ |
3,500km超 | 6時間以上 | 500ユーロ |
この提案が実現すれば、現行制度に比べて、
- 補償の対象となる遅延時間が延長される
- 補償金額が一部引き下げられる
といった変更が生じることになります。
改正案が検討されている背景
- 航空会社の財政的負担が大きい
- 現行制度では、わずかな遅延でも高額な補償が発生するケースがあり、運航コストが上昇している
- EU域内の航空業界の競争力を維持・強化するために、補償制度のバランスを見直す必要があるという意見が出ている
ヨーロッパへ旅行前に知っておくべきポイントと対策
現時点では制度改正は確定しておらず、現行の補償制度が引き続き適用されています。ただし今後の変更に備えて、旅行者としても以下のような対策をとっておくと安心です。
フライト遅延に備えるためのポイント
- 遅延や欠航が発生した場合は、必ず現地で証明を確保する(遅延証明書、搭乗券、空港の案内画面の写真など)
- 旅行保険に「航空機遅延補償」が含まれているか確認しておく
- 長距離フライトや乗り継ぎ便の場合、スケジュールに余裕を持たせる
- EU261の公式情報ページをブックマークしておく
航空券を組み合わせるちょっとしたコツ
幸いにも、私自身はこの制度を使ったことはまだありません。そしてこの制度に関しては、後付けな部分ではありますが、私がよくやる航空券の組み合わせ技が効果を発揮するかもしれない。という部分。
行き:エールフランス、KLM、ルフトハンザなど
帰り:ANA or JALなど
という組み合わせにすることでEU261を適用できるようになります
行き:EU外からEU内はEU加盟国の航空会社
帰り:EU内からEU外は航空会社関係無く適用
結論:制度の変更を見据えて、今から備える意識を
EU261は、ヨーロッパを旅行するすべての人にとって安心材料となる制度です。しかし、その補償条件が今後厳しくなる可能性があることを考えると、現行制度の内容をしっかり理解しておくことが重要です。
特に、フライトが遅れた際にどう行動すればよいかを事前に把握しておくことで、いざという時に慌てず対応できます。
旅行を安全かつ快適に楽しむために、航空券の予約時には航空会社の対応実績や、補償制度の確認も欠かさず行いましょう。
それではみなさま、素敵な旅を!
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