【10/31まで】JAL海外特典航空券タイムセール開催中!パリ行きビジネスクラス片道39,900マイル〜|対象路線・条件はこちら

EU261とは?遅延・欠航の補償250〜600ユーロと2027年改正【2026年版】

EU261 海外旅行情報ろぐ
記事内に広告が含まれています。

ヨーロッパ旅行中、飛行機が大幅に遅延したり、突然欠航したりした場合、航空会社から補償を受けられる可能性があります。

その根拠となるのが、EUの航空旅客保護制度「EU261(EC261)」です。

一定の条件を満たす場合には、250〜600ユーロの金銭補償を請求できるほか、食事・宿泊の支援や、航空券の払い戻し・代替便への振替などを受けられる場合があります。

重要なのは、この制度が欧州航空会社だけのものではないことです。

例えば、JAL・ANAが運航するパリ発羽田行きの直行便もEU261の対象です。一方、日本発パリ行きでは、実際に運航する航空会社によって適用関係が変わります。

この記事で押さえたいポイント

  • EU261の対象便でも、必ず金銭補償が出るわけではない
  • 到着遅延による金銭補償と、出発遅延による食事・宿泊支援は別の権利
  • 長距離便では、到着遅延が3時間以上4時間未満の場合に300ユーロとなることがある
  • マイルで発券した特典航空券も対象になり得る
  • 2026年に改正規則が成立したが、新しい規定の適用開始は2027年10月23日

2026年10月現在:この記事で先に説明するのは、現在適用されるRegulation (EC) No 261/2004と、その解釈に関するEU司法裁判所の判例です。2027年からの改正内容は後半で別に解説します。

  1. EU261(EC261)とは?まず現在の制度を確認
  2. JAL・ANA・Air Franceのどの便が対象?
    1. 羽田~パリの直行便で比較
    2. 乗継便・コードシェア便は個別確認が必要
    3. イギリスやスイスはどうなる?
  3. 何時間遅れたら250・400・600ユーロの補償を受けられる?
    1. 2026年現在の到着遅延と補償金額
    2. 「到着時刻」は飛行機が着陸した時刻?
  4. 空港での食事・飲み物・宿泊支援は何時間から?
    1. 出発遅延時の支援条件
    2. 航空会社が食事やホテルを手配してくれない場合
    3. 出発が5時間以上遅れた場合の払い戻し
  5. 航空便が欠航した場合の補償・振替・払い戻し
    1. 2026年現在の欠航時の補償判断
  6. オーバーブッキングで搭乗拒否された場合もEU261の対象?
  7. 悪天候・ストライキ・機材故障では補償されない?
  8. 遅延・欠航が起きたときの具体的な行動と請求方法
    1. 1. 運航航空会社に理由と対応を確認する
    2. 2. 証拠と領収書を保存する
    3. 3. 旅行を続けるか、払い戻しを選ぶか確認する
    4. 4. 運航航空会社の公式窓口へ請求する
    5. 2026年現在、補償請求の期限は?
  9. 2027年10月23日からEU261はどう変わる?
    1. 現行制度と2027年改正後の比較
    2. 250・400・600ユーロの金額は維持される
    3. 欠航時の補償条件も一部変更
    4. 航空会社が振替便を提供しない場合の自己手配
    5. 請求期限・回答期限の明文化
    6. 悪天候などの異常事態と宿泊支援
    7. 往路未搭乗を理由とする復路搭乗拒否が禁止される
    8. 乗継失敗・搭乗券などの権利も明確化
  10. マイルの特典航空券でもEU261を請求できる?
  11. EU261とクレジットカードの航空便遅延保険は何が違う?
  12. 航空券の組み合わせでEU261の対象範囲を広げられる?
  13. EU261のよくある質問
    1. JAL・ANAのパリ発羽田行きで3時間遅れたら600ユーロもらえますか?
    2. 羽田発パリ行きのANA・JAL直行便もEU261の対象ですか?
    3. エールフランスなら日本発でも対象ですか?
    4. 飛行機が2時間遅れたら250ユーロを請求できますか?
    5. 欠航になったら必ず航空会社がホテル代を負担しますか?
    6. 悪天候でも金銭補償を請求できますか?
    7. 2027年から補償額は500ユーロになりますか?
    8. 2026年の遅延に2027年の9か月請求期限は適用されますか?
  14. まとめ|まず現在の権利を確認し、2027年改正と区別しよう
  15. 参考資料・EU公式情報

EU261(EC261)とは?まず現在の制度を確認

EU261とは、正式名称を「Regulation (EC) No 261/2004」というEUの航空旅客保護規則です。

航空便の遅延、欠航、搭乗拒否などが発生した場合に、旅行者が受けられる権利を定めています。

具体的には、主に次の3つを区別する必要があります。

権利主な内容
金銭補償一定条件で250・400・600ユーロなどの定額補償
空港での支援食事・飲み物、必要な宿泊や交通手段など
払い戻し・振替欠航や長時間遅延時の航空券の払い戻し、代替便の手配など

例えば、金銭補償の対象とならない悪天候による欠航でも、払い戻しや代替便、待機中の支援を受けられる場合があります。

また、出発が2時間遅れたからといって、直ちに250ユーロの金銭補償を請求できるわけではありません。

この違いを理解することが、EU261を正しく利用する第一歩です。

EU261の金銭補償は到着遅延、食事や宿泊などの支援は出発遅延で判断することを示す比較図

JAL・ANA・Air Franceのどの便が対象?

日本からヨーロッパへ旅行する場合、EU261が適用されるかを判断するには、まず出発地、到着地、実際の運航航空会社を確認します。

原則として、EU域内を出発する航空便は運航航空会社の国籍にかかわらず対象になります。

EU域外からEU域内へ到着する便については、EUの航空会社が運航する場合に対象となるのが基本です。ただし、出発国で既に補償・支援を受けている場合など、個別の適用条件にも注意が必要です。

羽田~パリの直行便で比較

運航航空会社羽田→パリパリ→羽田
JAL原則対象外対象
ANA原則対象外対象
Air France対象対象

EU261の地理的な適用範囲。金銭補償の支払いを保証する表ではありません。

例えば、JAL運航のパリ発羽田行き直行便で大幅な遅延が発生した場合、EU261に基づく補償を検討できます。

JALも公式サイトで、EU域内を出発する自社運航便についてEU261を遵守することを案内しています。

JAL公式|EU規則に基づくお客さまの権利について

一方、ANA・JAL運航の羽田発パリ行き直行便は、通常EU261の対象外です。ただし、この説明は日本発着の直行便についてのものです。

乗継便・コードシェア便は個別確認が必要

乗継便では、単に一つの区間がEU内にあるかどうかだけで補償の可否を決められません。

同じ予約・同じ運送契約に含まれる乗継便では、最終目的地への到着遅延が判断に関係することがあります。

一方、自分で別々に購入した航空券を組み合わせる場合は、後続便への乗り継ぎが当然に保障されるわけではありません。

また、航空券の便名がJALやANAであっても、実際には別の航空会社が運航しているコードシェア便があります。

乗継便については、運航航空会社、すべての区間の出発地・到着地、単一の運送契約かどうかを確認してください。判断が難しい場合は、運航会社にEU261の適用について問い合わせるのが確実です。

なお、この記事では便の運航がEU261の適用範囲に入るかを説明しています。実際の請求の成否はトラブルの原因などによって異なります。

日本~欧州の直行便は、日本からヨーロッパへ直行便で行ける都市・航空会社まとめでも紹介しています。

イギリスやスイスはどうなる?

EU261の旅客保護は、EU加盟国だけでなく、アイスランド、ノルウェー、スイスにも関連する枠組みで適用されています。

一方、イギリスにはEU離脱後の独自の航空旅客保護制度があります。ロンドン発着便を、EU加盟国発着便と無条件に同じものとして判断しないでください。

EU加盟国以外を含む旅程では、旅行前に関係国の公式情報も確認しましょう。

何時間遅れたら250・400・600ユーロの補償を受けられる?

現行制度では、EU司法裁判所の判例により、原則として最終目的地への到着が3時間以上遅れた場合、金銭補償の対象になり得ます。

重要なのは、出発時刻ではなく、最終目的地への到着遅延で判断する点です。

2026年現在の到着遅延と補償金額

距離・旅程区分到着遅延補償額
1,500km以下3時間以上250ユーロ
EU域内1,500km超、その他1,500〜3,500km3時間以上400ユーロ
上記以外の長距離便3時間以上4時間未満300ユーロとなる場合あり
上記以外の長距離便4時間以上600ユーロ

EU公式の旅客権利案内に基づく現行制度の目安。異常事態などの免責や旅程別の例外があります。

例えば、EU261の対象となるパリ発羽田行きの直行便が予定より3時間30分遅れて到着した場合、長距離便の減額規定により300ユーロとなる可能性があります。

4時間以上の到着遅延であれば、基本補償額600ユーロが判断の出発点になります。

ただし、遅延時間だけで金銭補償が確定するわけではありません。航空会社が異常事態などの免責条件を立証できる場合は、定額補償が認められないことがあります。

また、欠航後の振替便や乗継便では追加の判断条件があるため、表をそのまま機械的に当てはめないようにしてください。

「到着時刻」は飛行機が着陸した時刻?

EU司法裁判所の判例(C-452/13)では、到着遅延の判断における到着時刻は、原則として航空機の扉が少なくとも一つ開き、乗客が降機できる状態になった時点とされています。

単に滑走路へ着陸した時刻と一致するとは限りません。

遅延が3時間または4時間の境界に近い場合は、航空会社の到着時刻記録も確認してください。

EU司法裁判所|C-452/13判決

空港での食事・飲み物・宿泊支援は何時間から?

EU261では、到着遅延による金銭補償とは別に、出発遅延に応じた支援が定められています。

出発遅延時の支援条件

距離・旅程区分支援が必要となる出発遅延の目安
1,500km以下2時間以上
EU域内1,500km超、その他1,500〜3,500km3時間以上
上記以外の長距離便4時間以上

支援には、待ち時間に応じた食事・飲み物や連絡手段の提供などが含まれます。

さらに、遅延により翌日以降の出発となり宿泊が必要な場合には、ホテルの手配や空港とホテル間の移動について航空会社の支援義務が生じる場合があります。

例えばパリ発羽田行きの直行便なら、長距離便の区分に該当するため、出発遅延が4時間以上と見込まれる場合に空港での支援を確認することになります。

これは「4時間遅れないと食事券を出してはいけない」という意味ではありません。航空会社がそれ以前から自主的に支援することもあります。

航空会社が食事やホテルを手配してくれない場合

まずは空港係員にEU261に基づく支援を依頼してください。

必要な支援を航空会社が提供しない場合、合理的で必要な食事代・宿泊費などについて後から費用償還を求められる可能性があります。

ただし、宿泊施設や食事の費用が無制限に補償されるわけではありません。

やむを得ず自分で手配する場合は、可能な限り航空会社へ事前に確認し、領収書とやり取りを保存してください。

出発が5時間以上遅れた場合の払い戻し

現行制度では、出発遅延が5時間以上となった場合、旅行を取りやめて航空券の払い戻しを選択できる場合があります。

対象となるのは未使用部分などで、既に搭乗した区間が旅行目的に照らして意味を失った場合には、その部分も関係することがあります。

払い戻しを選ぶと、その後の振替や待機中の支援についての扱いが変わる場合があります。

旅行を続けるのか、払い戻して中止するのかは、選択肢を確認してから決めましょう。

航空便が欠航した場合の補償・振替・払い戻し

EU261の対象便が欠航した場合、旅客には原則として払い戻し、可能な限り早い代替便への振替、希望する後日の振替などの選択肢があります。

定額の金銭補償については、欠航の通知時期、代替便の出発・到着時刻、欠航原因などで判断します。

2026年現在の欠航時の補償判断

欠航の通知時期金銭補償の判断
出発14日以上前原則として定額補償なし
出発7〜13日前代替便が予定より2時間超早く出発する場合や、到着が4時間以上遅れる場合などは補償の可能性
出発7日前未満代替便が予定より1時間超早く出発する場合や、到着が2時間以上遅れる場合などは補償の可能性

異常事態による免責なども別途判断します。

ここで示したのは、欠航の通知時期と代替便時刻による主な判断条件です。通知の有無、実際に提示された旅程、航空会社側の立証なども関係します。

欠航したから必ず600ユーロ、あるいは14日前に通知されれば何の権利もない、というわけではありません。

定額補償が認められない場合でも、払い戻しや振替などの権利は別に確認する必要があります。

オーバーブッキングで搭乗拒否された場合もEU261の対象?

予約や搭乗手続きの条件を満たしていたにもかかわらず、満席・オーバーブッキングなど航空会社側の事情で本人の意思に反して搭乗を拒否された場合は、EU261による補償の対象となり得ます。距離などの条件に応じた定額補償の基本額は250・400・600ユーロで、代替便の到着時刻によっては減額される場合があります。また、払い戻し・代替便への振替や、必要な待機中の支援についても確認してください。

ただし、自発的に席を譲ることに合意した場合は、航空会社と合意した条件が重要です。健康・安全・保安上の合理的な理由や渡航書類の不備による搭乗拒否も、本人の意思に反するオーバーブッキングとは扱いが異なります。詳細はEU公式の搭乗拒否・補償の案内を確認してください。

悪天候・ストライキ・機材故障では補償されない?

EU261では、航空会社の通常の活動に内在せず、その実際の管理の及ばない「異常事態(extraordinary circumstances)」に該当するかどうかが重要です。

ただし、原因の名前だけで一律に決まるわけではありません。

主な原因金銭補償の考え方
悪天候安全な運航ができない状況では異常事態となり得る
航空交通管制の制限異常事態となり得る
一般的な機材故障通常、それだけで異常事態とは認められない
航空会社内部のストライキ自動的に免責されるわけではない
空港や管制など外部のストライキ異常事態となり得る

航空会社が金銭補償の免責を主張する場合には、異常事態が実際に遅延・欠航の原因となったことや、合理的な対策を尽くしても回避できなかったことなどが問題になります。

例えば、機材故障でも、通常の整備中に判明した問題と、外部からの特殊な損傷では判断が異なる可能性があります。

「機材故障だから必ず補償」「ストライキだから絶対に補償なし」と断言することはできません。

また、異常事態によって定額の金銭補償が認められない場合でも、航空会社の支援義務まで自動的に消滅するわけではありません。

航空会社の説明に納得できない場合は、具体的な欠航・遅延理由とEU261のどの条件に基づく回答なのかを確認しましょう。

遅延・欠航が起きたときの具体的な行動と請求方法

実際にトラブルが発生したときは、金銭補償の請求よりも先に、目的地までの移動手段と必要な宿泊の確保を優先してください。

1. 運航航空会社に理由と対応を確認する

航空会社のアプリ、公式サイト、メール、空港の案内表示などで遅延・欠航状況を確認します。

可能であれば、運航会社の係員に原因や今後の振替予定、食事・宿泊支援について確認してください。

2. 証拠と領収書を保存する

後から状況を説明できるよう、次の資料を保存しておきましょう。

  • 搭乗券、電子搭乗券の画面
  • 予約番号・航空券番号
  • 便名・出発日・実際の運航航空会社
  • 予定出発・到着時刻と実際の時刻
  • 航空会社から届いた遅延・欠航通知
  • 代替便の案内、メール、チャットの記録
  • 食事代、ホテル代、交通費などの領収書

航空会社から遅延証明書を入手できる場合は保存しておくと便利ですが、証明書がないという理由だけで請求できないと決めつける必要はありません。公式の申請要件を確認してください。

3. 旅行を続けるか、払い戻しを選ぶか確認する

欠航や大幅遅延では、代替便と払い戻しのどちらを選ぶかで、その後の権利関係が変わることがあります。

特に、自己判断で高額な代替航空券を購入する場合は注意が必要です。

2026年現在でも、航空会社が適切な振替を提供しなかった場合などに、合理的な自己手配費用の償還を求められる可能性はあります。

しかし、2027年からの新しい「3時間以内に適切な振替を提供しない場合」の明文化されたルールを、現行制度にそのまま当てはめることはできません。

原則として、先に航空会社へ振替を求め、その対応内容を記録しておくことをおすすめします。

4. 運航航空会社の公式窓口へ請求する

定額の金銭補償を請求する場合、原則として問題の便を実際に運航した航空会社に申請します。

予約サイトやマイレージプログラムを通して航空券を取得していても、EU261上の金銭補償請求先と発券元が異なる場合があります。

申請するときは、予約情報・便名・日付・トラブル内容・請求する補償の種類を整理してください。

JAL運航便の場合は、JALのEU規則に関する公式案内に、問い合わせ方法と必要情報が記載されています。

エールフランス運航便の場合は、エールフランス日本語公式サイトの申請・お問い合わせページから、補償申請や申請済み案件の確認方法を調べられます。JAL便・エールフランス便のどちらでも、まず実際の運航航空会社の窓口を確認してください。

その他の航空会社についても、運航会社の公式サイトにある補償・苦情申立て窓口を確認しましょう。

航空会社の回答に納得できない場合には、関係する国の航空旅客権利の執行機関などに相談する方法があります。

確認用:EU公式|Air passenger rights

2026年現在、補償請求の期限は?

現行のEU261では、2027年から適用される一律9か月の金銭補償請求期限はまだ適用されていません。

現在は関係する国の時効や手続きなどが影響します。国ごとに期間が異なるため、「何年以内なら必ず請求できる」と一律には案内できません。

できるだけ早く航空会社へ請求し、必要に応じて関係国の正式な期限を確認してください。

2027年10月23日からEU261はどう変わる?

EU261を改正するRegulation (EU) 2026/2202は、2026年9月16日に署名され、同年10月2日にEU官報に掲載されました。

2026年10月22日に発効していますが、改正規定の適用開始日は2027年10月23日です。

したがって、2026年10月現在に発生する遅延・欠航について、改正後のルールで請求できるわけではありません。

現行制度と2027年改正後の比較

項目2026年現在2027年10月23日以降
遅延の金銭補償到着3時間以上(判例)到着3時間超を条文に明記
基本補償額250・400・600ユーロ基本額を維持
EU域外長距離便の遅延補償の減額3時間以上4時間未満で300ユーロとなる場合あり3時間超〜4時間以内で300ユーロとなる場合あり
欠航の振替・払戻し選択権あり選択・手続きを明確化
代替便の自己手配個別事情に応じて費用償還の可能性一定条件で3時間ルールと費用上限を明文化
金銭補償請求期限関係国の時効等による原則9か月以内
金銭補償請求への回答一律の30日規定なし原則30暦日以内に支払いまたは理由付き回答
同一契約の往路未搭乗運賃条件等による未搭乗のみを理由とする復路搭乗拒否を禁止
異常事態判例などで判断非網羅的な例示と立証要件を明文化

2026年成立の改正規則を基に作成。2027年の欄はまだ現在の旅行に適用されません。

250・400・600ユーロの金額は維持される

2025年には、遅延補償の対象時間を延長し、補償額を300・500ユーロとする案が議論されていました。

しかし、最終的に成立した2026年改正規則では、250・400・600ユーロという基本補償額が維持されました。

改正後の第6条では、最終目的地への到着遅延が3時間を超えた場合の補償権が明記されます。

また、第7条では、長距離便の到着が予定時刻から4時間を超えない場合に、一定条件で600ユーロを50%減額できる仕組みが規定されています。

なお、改正条文は「3時間を超える」と規定しています。現行判例の「3時間以上」という説明とは文言が異なるため、適用開始後の具体的な請求では最新の公式案内も確認してください。

欠航時の補償条件も一部変更

2027年からは、欠航の通知時期と代替便の時刻による定額補償の除外条件が整理されます。

改正後の第5条では、14日以上前に欠航を通知された場合、または14日未満前の通知であっても代替便が所定の条件を満たす場合に、定額補償が不要となる規定があります。

代替便の時刻条件は、原則として元の出発予定時刻の1時間より早く出発せず、到着予定時刻からの遅れが2時間未満であることです。

欠航の理由による免責などは別に判断されます。定額補償がなくても、振替・払戻しの権利が残る場合があります。

航空会社が振替便を提供しない場合の自己手配

2027年からの改正で重要なのが、代替交通手段を旅行者自身で手配する権利の明文化です。

改正後の第8条では、旅行者ができるだけ早い振替を希望することを航空会社に伝え、それから所定の3時間以内に同等の運送条件による振替が提示されない場合などに、自分で代替交通手段を手配できる仕組みが定められています。

欠航では、この3時間の扱いについて、航空券に記載された出発予定時刻を基準とする特則もあります。

自己手配の費用には、必要性・合理性・適切性が求められます。償還の上限は、原則として元の航空券代金と対象となる仲介手数料の合計の400%です。

「欠航したらすぐ他社の好きな航空券を買える」「航空会社が3時間応答しなければ高額な航空券を無条件に購入できる」という意味ではありません。

航空会社への意思表示、提供された代替案、費用、予約条件が関係するため、2027年以降も自己手配前には適用条件を確認してください。

請求期限・回答期限の明文化

2027年からの改正第7条では、定額の金銭補償請求について、原則として航空券記載の出発日に基づく9か月以内の請求期限が設けられます。

航空会社は請求受領後、原則として30暦日以内に金銭補償を支払うか、支払わない理由を説明する必要があります。

また、改正第15a条には、金銭補償の請求とは別の苦情申立て手続きについても期限と回答手続きが定められています。

この2つを混同せず、実際に請求するときは対象となる手続きの種類を確認してください。

悪天候などの異常事態と宿泊支援

改正後の第6c条では、異常事態の非網羅的な例示リストが設けられます。

金銭補償の免責を主張する航空会社には、異常事態との直接的な因果関係や合理的な対策について立証することが求められます。

一方、改正後の第9条では、異常事態が原因で合理的な対策でも回避できなかった場合、航空会社が提供するホテル宿泊を最大3泊に制限できる規定が設けられます。

この制限についても、2026年現在のトラブルに適用されるものではありません。また、個別の支援義務や特別な支援を必要とする旅行者の権利については、最新の法令で確認してください。

往路未搭乗を理由とする復路搭乗拒否が禁止される

2027年からは、同じ運送契約に含まれる往路の便に搭乗しなかったことだけを理由に、復路への搭乗を拒否することが禁止されます。

ただし、往復を別々に購入している場合や、ほかに搭乗を拒否できる正当な理由がある場合まで、無条件に保護されるという意味ではありません。

2026年現在に往路へ搭乗できなくなった場合は、復路予約の維持について航空会社へ確認してください。

乗継失敗・搭乗券などの権利も明確化

改正後の第6b条では、同一運送契約による乗継便を、前の便のトラブルが原因で利用できなかった場合の振替・支援・補償について規定されます。

これは、別々の運送契約で購入した航空券の乗継を全面的に保障する制度ではありません。

また、改正規則では、搭乗券をアプリのダウンロードやアカウント作成なしで取得できること、紙の搭乗券の取扱いなど、情報提供と利用手続きに関する旅客の権利も強化されます。

改正規則の全文は、EUR-Lex|Regulation (EU) 2026/2202で確認できます。

マイルの特典航空券でもEU261を請求できる?

JALマイル、ANAマイル、Flying Blue、Aviosなどで取得した特典航空券でも、EU261の対象になる場合があります。

現行規則では、一般に利用できない無料航空券や割引航空券を対象外とする一方、一般に利用可能なマイレージプログラムによる航空券は対象に含まれます。

したがって、マイルで予約したからEU261の金銭補償を請求できない、というわけではありません。

ただし、マイルで発券したかどうかとは別に、運航航空会社、旅程、遅延・欠航の原因などが補償判断に関係します。

また、特典航空券の発券元とEU261の請求先は必ずしも一致しません。

例えば、Aviosを使ってJAL運航のパリ発羽田行き直行便を発券した場合でも、EU261上の請求では実際に運航したJALの対応を確認することになります。

特典航空券の諸税や燃油サーチャージなどの仕組みについては、特典航空券でもお金はかかる?税金・燃油サーチャージ・手数料を初心者向けに解説をご覧ください。

EU261とクレジットカードの航空便遅延保険は何が違う?

EU261による金銭補償と、クレジットカードの航空便遅延保険は別の制度です。

項目EU261カード付帯保険
根拠EUの法令・関連判例保険契約・約款
主な請求先運航航空会社保険会社等
金銭補償条件を満たす場合の定額補償対象費用の実費補償など
主な判断条件運航会社・旅程・トラブル原因等保険の付帯条件・事故内容・対象費用等

例えばEU261の金銭補償対象外となる悪天候でも、カード保険の約款上は一部の費用が補償される場合があります。

逆に、EU261による定額補償を受けられても、カード保険の対象となる費用が発生していなければ、保険金が支払われない場合があります。

両方を請求する場合、同じ実費についての二重回収が認められるとは限りません。保険約款や航空会社から受けた費用償還の内容を確認してください。

カード別の補償条件については、航空便遅延保険をクレジットカードで比較|SFC・JGC・Marriott・Hiltonで解説しています。

また、マイルで航空券を取得した際の利用付帯条件については、特典航空券でも海外旅行保険は使える?マイル発券時の利用付帯条件をカード別に検証も参考になります。

航空券の組み合わせでEU261の対象範囲を広げられる?

私自身、JAL・ANA・Air Franceの長距離国際線を利用しており、ヨーロッパ旅行ではマイルや運航航空会社を比較して航空券を組み合わせることがあります。

ただし、EU261の金銭補償を実際に請求して受領した経験はありません。

航空券選びで考えられるのは、日本発ヨーロッパ行きをAir FranceなどのEU航空会社運航便にし、帰国便をJAL・ANAなどにする組み合わせです。

日本発パリ行きの直行便では、EU航空会社の運航便がEU261の適用範囲に入る一方、パリ発日本行きの直行便はJAL・ANAなどの非EU航空会社でも対象になるためです。

もっとも、EU261が適用されることと、必ず金銭補償を受けられることは別です。

運航会社の信頼性、直行便・乗継便の違い、航空券の価格、必要マイル数、旅程全体の負担も重要です。

私自身は、EU261の適用範囲だけを理由に航空会社を決めるのではなく、航空券の条件を比較する際の一つの要素として考えています。

過去に経験した航空便の欠航や旅行トラブルについては、海外旅行トラブルまとめ|飛行機・ホテル・空港などでの実体験でも紹介しています。なお、こちらはEU261の補償受領体験ではありません。

EU261のよくある質問

JAL・ANAのパリ発羽田行きで3時間遅れたら600ユーロもらえますか?

パリ発羽田行きのJAL・ANA運航直行便はEU261の対象です。ただし、2026年現在の長距離便では到着3時間以上4時間未満の遅延で300ユーロとなる場合があり、4時間以上の場合は600ユーロが基本額です。異常事態による免責なども考慮されるため、支払いは保証されません。

羽田発パリ行きのANA・JAL直行便もEU261の対象ですか?

日本発パリ行きのANA・JAL運航直行便は、原則としてEU261の対象外です。乗継便やコードシェア便では判断が異なる場合があるため、運航会社と運送契約を確認してください。

エールフランスなら日本発でも対象ですか?

Air Franceが運航する日本発EU行きの直行便は、EU261の適用範囲に入るのが原則です。ただし、補償の支払いには遅延・欠航の具体的な条件があります。

飛行機が2時間遅れたら250ユーロを請求できますか?

出発が2時間遅れただけで250ユーロの金銭補償が発生するわけではありません。現行制度では到着遅延による金銭補償と、出発遅延時の食事・飲み物などの支援を区別します。

欠航になったら必ず航空会社がホテル代を負担しますか?

EU261の対象で、振替を待つために宿泊が必要となる場合には、航空会社の支援義務が生じることがあります。ただし、旅行を中止して払い戻しを選んだ場合などは扱いが異なります。まず航空会社に必要な支援を確認してください。

悪天候でも金銭補償を請求できますか?

異常事態として航空会社の免責が認められる場合、定額の金銭補償が認められないことがあります。ただし、原因とトラブルとの関係や合理的な対策が問題となります。また、払い戻し・振替・空港での支援は別に判断されます。

2027年から補償額は500ユーロになりますか?

いいえ。2025年に議論された300・500ユーロの変更案は、最終成立した規則とは異なります。2026年成立の改正規則では、基本補償額250・400・600ユーロが維持されました。

2026年の遅延に2027年の9か月請求期限は適用されますか?

いいえ。改正後の請求期限は2027年10月23日から適用される規定です。2026年現在の請求では、関係国の時効や手続きを確認してください。

まとめ|まず現在の権利を確認し、2027年改正と区別しよう

EU261は、ヨーロッパ旅行中の航空便遅延・欠航から旅行者を保護する制度です。

日本からヨーロッパへ旅行する際は、まず自分の航空券が適用対象となるかを確認し、そのうえで金銭補償、支援、払い戻し・振替を分けて考えることが大切です。

特にJAL・ANAのパリ発日本行き直行便はEU261の対象です。一方、日本発の直行便は、Air FranceなどEU航空会社の運航便かどうかが判断の一つになります。

2026年に改正規則は成立しましたが、新しい規定の適用開始は2027年10月23日です。

今起きたトラブルに、将来の新制度を先取りして適用しないようにしましょう。

万一遅延・欠航が発生した場合は、航空会社への確認、必要な支援の依頼、記録と領収書の保存を優先してください。

実際に請求する際は、EU公式情報、運航航空会社の案内、必要に応じて関係国の執行機関の情報を確認することをおすすめします。

参考資料・EU公式情報

最終確認日:2026年10月26日。本記事はEUの公式法令、公式案内、判例を基に一般的な制度を整理したものです。個別の補償請求が認められることを保証するものではありません。改正規則については、2027年10月23日の適用開始前に公式案内や実施手続きが更新される可能性があります。実際の旅行・請求時には最新情報をご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました