各社が相次いで新キャビンを発表・導入している2026年。ビジネスクラスの刷新だけでなく、エコノミーのフルフラット化という驚きのサービスまで登場しています。この記事では気になった4社の新キャビン情報をまとめてお届けします。
1. スイス航空「SWISS Senses」

概要
スイス航空が社史上最大のプロダクト投資と位置づける新キャビンコンセプト「SWISS Senses」。ルフトハンザグループが開発した「Allegris」をベースに、スイス航空独自のデザインとホスピタリティを加えた仕様です。
2025年10月に初号機(A350-900)がチューリッヒに到着し、2025年11月20日にチューリッヒ〜ボストン線で長距離国際線デビューを果たしました。2026年1月1日以降は同路線で正式予約が可能になっています。
ビジネスクラスの特徴
新しいSWISS Sensesのビジネスクラスは、45席を5種類のシートタイプで構成しているのが最大の特徴です。
- ビジネススイート(最上位、一部ドア付き)
- プライバシーシート
- エクストラスペースシート
- エクストラロングベッドシート(業界最長クラスの約2.2mのベッド)
- クラシックシート
全座席がフルフラットでアイルアクセス可能。17.3インチの4K OLEDスクリーン、シートヒーティング&クーリング、ワイヤレス充電など、装備面でも現行水準を大きく上回っています。
なお、「ビジネススイート」はHONサークル会員・セネターのみ追加料金なしで予約可能です(一般会員は有料)。
展開スケジュール
| 機材 | 導入時期 |
|---|---|
| A350-900(新造機) | 2025年〜2027年末にかけて10機納入予定 |
| A330-300(既存機改修) | 2026年〜順次 |
| B777-300ER(既存機改修) | 2026年末以降(未確定) |
なお、A330改修については一風変わった事情もあります。ファーストクラスキャビンが重すぎてA330の重量バランスに影響するため、後方に1.5トンの重りを設置して対応するとのこと。ルフトハンザグループらしい豪快な解決策です。
マイル旅行者への視点
SWISS(スイス航空)はスターアライアンス加盟のため、ANAマイルでの特典発券が可能です。チューリッヒを経由してヨーロッパ各地へ向かうルートでの利用を検討してみる価値はあるでしょう。現時点では就航路線がチューリッヒ〜ボストン線(およびモントリオール線)に限られていますが、今後路線拡大が予定されています。
2. エアカナダ「Glowing Hearted」

概要
エアカナダが2026年4月14日、ハンブルクで開催された「Aircraft Interiors Expo(AIX)」で正式発表した新キャビン。「Glowing Hearted(心温まる)」というデザインコンセプトのもと、カナダの自然・文化をモチーフにした内装が特徴です。A321XLRと新造のB787-10の2機種に導入されます。
A321XLR:カナダ初、ナローボディ機でフルフラットビジネスクラス

エアカナダはA321XLRに14席のフルフラット「Signature Class」を導入します。単通路機でのフルフラットビジネスクラスはカナダ航空会社では初の試みです。
シートはCollins Aerospace製の「Aurora」スイート(ヘリンボーン1-1配列)を採用。ドアは設置しない設計を意図的に選んでいます——狭い機内でも圧迫感を抑えるための判断とのことで、合わせてベッド長と通路幅を最大化できるとエアカナダは説明しています。
19インチの4K OLEDスクリーンとBluetoothオーディオ、USB-CとACコンセントを全席に装備。2026年5月に国内線でデビュー後、6月からトゥールーズ、エディンバラなどヨーロッパ路線に就航予定です。
B787-10:新「Signature Plus」スイートが登場

B787-10には計42席のビジネスクラスを設置。うち最前列の4席が新設の「Signature Plus Suite」として提供されます。
- フルフラット時のベッド長:2m(6’5″)
- スクリーン:27インチ4K OLED
- クオーツァイト素材のテーブル、専用のゲストシート付き(同行者との食事に使用可)
- 中央2席は可動式プライバシーパネルで仕切ることが可能
Signature Plusはカタール航空QSuiteの「ダブルベッド」コンセプトに近い発想です。ユナイテッドの「Polaris Studio」、アメリカン航空の「Flagship Preferred」と並ぶ、いわゆる「ビジネスクラス・プラス」製品のひとつとして位置づけられます。B787-10の就航は2026年後半を予定。
マイル旅行者への視点
エアカナダもスターアライアンス加盟のため、ANAマイルで発券可能です。Aeroplan(エアカナダのポイントプログラム)での発券実績も豊富。ただし、Signature Plusスイートを特典で指定できるかどうかは現時点で未発表です。
3. ユナイテッド航空「United Elevated」

新Polaris(ビジネスクラス)
ユナイテッドが「United Elevated」と名づけた大規模キャビン刷新プロジェクト。新造のB787-9には初めてスライディングドア付きのPolaris(ビジネスクラス)スイートが導入されます。
新B787-9の仕様は非常にプレミアム寄りで、総座席数わずか222席(既存機の257席から大幅削減)。
| クラス | 席数 |
|---|---|
| Polaris(ビジネス) | 64席(うちPolaris Studio 8席) |
| Premium Plus(プレミアムエコノミー) | 35席 |
| Economy Plus(エコノミー・前方) | 39席 |
| エコノミー | 84席 |
最前列に設置される「Polaris Studio」は通常Polarisより25%広い空間を確保。27インチ4K OLEDスクリーン、コンパニオンダイニング対応、さらにオセトラキャビアのアミューズブーシェ(追加料金あり)というラグジュアリーな仕様です。
国際線デビューは2026年4月22日のサンフランシスコ〜シンガポール線、同4月30日のサンフランシスコ〜ロンドン・ヒースロー線から。
Relax Row — エコノミーの「フルフラット」

2026年3月に発表されたのが、エコノミークラス向けの新サービス「United Relax Row」。ANAのフライングホヌのエコノミーよりフルフラットに近いイメージとして伝わっているこのサービス、仕組みはシンプルです。
エコノミー3席1列を丸ごと予約し、各座席のフットレストを90度に折り上げると、フルフラットに近い横になれるスペースが生まれます。
付属アメニティ:
- 専用マットレスパッド
- 大判ブランケット
- 追加枕×2
- お子様連れ向けにぬいぐるみ&キッズトラベルキット
1機あたり最大12列を設置予定で、Premium Plusとエコノミーの間の区画に配置されます。
実はこのコンセプト、ニュージーランド航空のSkycouch(スカイカウチ)を正式ライセンスしたもの。ユナイテッドとニュージーランド航空はスターアライアンス内でジョイントベンチャーを組んでおり、その縁から実現した提携です。
Relax Rowの就航は2027年(B787・B777ワイドボディ機に順次導入、2030年までに200機以上)。価格は未発表ですが、ニュージーランド航空のSkycouchが片道1,000〜1,200ドル程度であることを踏まえると、それなりの追加料金が必要になると思われます。
マイル旅行者への視点
ユナイテッドもスターアライアンス加盟のため、ANAマイルでPolaris発券が可能です。Polaris Studioの特典発券については現時点で詳細未発表ですが、Polaris通常席は従来通りANAマイルで発券できます。
4. ニュージーランド航空 — ビジネス&エコノミー全面刷新

新Business Premier(ビジネスクラス)— 2025年5月就航済み
ニュージーランド航空は2025年5月、B787-9の全面刷新を完了した第1号機を就航させました(オークランド〜ブリスベン〜サンフランシスコ線)。2014機全機を2026年末までに改修予定。
新ビジネスクラス「Business Premier」は24インチスクリーン、スライディングプライバシースクリーン、ワイヤレス充電を装備。1-2-1配置でフルフラット2m。
前列4席は「Business Premier Luxe」として有料アップグレードが可能で、ドア付き・大型ベッド・2名でのダイニングスペースを確保しています。
Skynest — エコノミー向け二段ベッドが2026年11月登場

ニュージーランド航空が長年開発を続けてきた「Skynest(スカイネスト)」がついに実現します。
エコノミー区画内に6つのバンクベッドポッドを設置(上段3つ×2列の構造)。予約すると最大4時間のフルフラット睡眠時間が確保できます。
- 予約開始: 2026年5月18日
- 就航開始: 2026年11月(オークランド〜ニューヨーク線に投入予定の新造B787-9)
- 料金: 約495ドルから(1セッション)
同路線はフライト時間が約17時間。エコノミー席で長時間を過ごすのが辛い場合の選択肢として、ビジネスクラス価格との比較で検討する価値はあるかもしれません。
なお、Skycouchの仕組みをユナイテッドにライセンスしたのもこのニュージーランド航空です。
https://www.airnewzealand.com/economy-skynest
個人的な印象
コンセプトとしては非常に面白いですが、正直なところ少し悩ましい設定です。
幅64cmは一般的な人にとって狭く、寝返りを打つのは難しいかもしれません。シングルベッドの幅が約97cmと考えると30cmも狭いわけですからね。
そして1セッション4時間というのも微妙なところ。睡眠時間としては短すぎるし、2セッション連続で取ろうとすると清掃インターバルの30分を挟んでNZ$1,000(約90,000円)以上になります。
またビジネスクラスとの価格差と見合うかどうか。特典航空券でエコノミーを取ってからSkynestを追加予約できるのかといった点は、今後の詳細発表を待ちたいところです。最初からビジネスクラスの特典発券を狙った方がトータルでお得という判断もあり得るかもしれません。
とはいえ、こういうチャレンジングな試みはどんどんやってほしいと思います。長距離エコノミーの選択肢が広がることはいいことですし、業界全体のきっかけになる可能性もありますよね。なお、Skycouchの仕組みをユナイテッドにライセンスしたのもこのニュージーランド航空です。
まとめ:2026年はキャビン大刷新の年
| 航空会社 | 新プロダクト | 就航時期 |
|---|---|---|
| スイス航空 | SWISS Senses(A350新造機・A330改修) | 2025年〜順次 |
| エアカナダ | Glowing Hearted(A321XLR / B787-10) | 2026年夏〜秋 |
| ユナイテッド | United Elevated 新Polaris + Relax Row | 2026年4月〜(Relax Rowは2027年〜) |
| NZ航空 | 新Business Premier(済)/ Skynest | 2025年〜 / 2026年11月〜 |
スイス航空・エアカナダ・ユナイテッドの3社はいずれもスターアライアンス加盟のため、ANAマイルでの特典発券対象です。新しいキャビンが出揃ったところで、改めてどの路線で使うかを考える良い機会ではないでしょうか。
情報は2026年4月時点のものです。就航スケジュールや仕様は予告なく変更される場合があります。
それではみなさま好きてな旅を!


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